2023年4月7日~ 2023年4月23日
2011年に開催された『ポップで、キッチュで、フレンチで、キュートで、シュールで、スウィートで』(CULTIVATE、東京)以来、約12年ぶりとなる2人展では、二艘木による木片作品や、ヌケメによるキャンバス作品といった新作が発表されます。
両者はそれぞれ、デジタルツールの持つ「思うままにならなさ」を新たな表現の軸として追求し、デジタルとアナログの手法を融合させた作品を数多く制作しています。
共に80年代生まれの両者は、インターネット黎明期のダイヤルアップ接続の頃からインターネット文化に接しており、特に二艘木は「お絵描き掲示板」に、ヌケメは「Tumblr」に受けた影響が大きかったと話します。
SNSやAIの台頭により、今や「インターネット」は、分断や衝突を象徴する概念になってしまいました。
かつては「仲間はずれ仲間」同士が出会える場だった、ユーザーの性善説に支えられたインターネット空間はすでに破壊され、フェイクニュースや陰謀論にあふれる、もうひとつの現実世界になりつつあります。
両者の作品には、SNS以前のインターネットが持っていた、理想郷の残滓のような何かが読み取れるかもしれません。それは利便性や広告性といった、資本主義的なインターネットとは別の一面を投げかけることになるでしょう。
(文:ヌケメ)
協力:TALION GALLERY、LEESAYA
二艘木洋行
1983年山口県生まれ。「お絵描き掲示板」と呼ばれる2000年代に広まったデジタルツールと、鉛筆やペン、油彩などの物理的な画材を等価に扱うことで、これまで誰も経験し得なかった新たな絵画のクオリティーを追求する。イメージを構成する描線や筆致、塗りや擦れなどの一つひとつの要素について、デジタルな描画環境にアナログなエラーを呼び込み、 あるいは逆にアナログな描画にデジタルなスキームを挿入することで、イメージの内部にコンポジションの構築と解体を複層的に描き出す。
ヌケメ
1986年岡山県生まれ。2008年に服飾の専門学校であるエスモード大阪校を卒業後、上京。ファッションや広告業と平行して、テクノロジーを活用した作品制作にも意欲的に取り組んでいる。2012年には文化庁メディア芸術祭にて審査委員会推薦作品に、2014年にはYouFab Global Creative Awards 2014ファイナリストに選ばれた。